相続放棄
- 「親に借金があり、その借金を相続してしまった」
- 「亡くなった親の借金について、相続の後、半年後に督促が来た」
- 「亡くなった親が借金の連帯保証人になっていた」
- 「亡くなった親は、借地の上に自宅を建てていたが、今は誰も住んでいない、解体して借地を更地にして返せという要求が来た」
- 「亡くなった親の自宅が、車も入らないような土地に建っており、隣の人から、崩れないように管理をしっかりするように言われている」
- 「亡くなった親の実家に、先祖代々の自宅や山、田があり、管理出来ない」
このような方はお急ぎください。借金や管理出来ない土地建物を相続しないよう、相続放棄の申請が必要です。
相続の方法と相続放棄について
相続財産には、現金、不動産、預貯金などのプラス財産だけでなく、住宅ローンや借金などのマイナスの財産も含まれています。
そのため、マイナスの財産が、プラスの財産より多い場合は、相続を放棄することができます。
これを相続放棄と言います。
より正確には、相続の方法には、単純承認、限定承認、相続放棄の3種類があります。
①単純承認
被相続人の財産の一切を継承する方法です。この場合は特別な手続きをする必要はありません。
②限定承認
プラスの財産が多いのか、マイナスの財産が多いのかが分からない場合に、有効な相続方法です。相続で得た財産の範囲内で借金を返済する、という条件で相続を承認する方法です。
限定承認の手続は、相続開始を知った時より3ヶ月以内に、家庭裁判所に「限定承認申述書」を提出して行います。
限定承認のデメリットは、非常に手間と時間がかかること、法定相続人が複数いる場合には必ず全員で手続をしなければならないことです。
③相続放棄
被相続人の財産を放棄し、一切の財産を相続しない方法です。被相続人の遺産よりも借金の方が多い場合、あるいは解体をしないいけないような建物があり、自分ではその不動産を取得したくない場合にはこの方法を取ります。
熟慮期間
これらの手続は相続の開始、つまり相続人が被相続人の死亡を知った日から3ヶ月以内に家庭裁判所に「相続放棄申述書」を提出しなければなりません。これを熟慮期間といいます。
それが認められれば相続人ではなくなります。
第1順位の相続人が相続を放棄した場合は、第2順位、第3順位へと相続人が代わりますので、相続人になる全ての者が相続放棄をする必要があります。
熟慮期間の延期(期間伸張)
熟慮期間内に、相続財産の調査や相続人の調査に時間を要する場合があります。相続財産の調査が3か月以内にできないような場合には、3か月の期間を伸長することができますから、先ずは、期間伸張を考えてください
「熟慮期間の伸長の申立て」は、当初の3ヶ月の熟慮期間内に行う必要があり、そうでなければ、熟慮期間の経過により単純承認したものとみなされます。
申立ては、被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に申請します。なお、熟慮期間中に申立てを行えばよく、熟慮期間が経過する前に審判を得る必要まではありません。
相続放棄が必要になる場合
相続放棄が必要になるのは、下記のような場合です。
- 故人に多額の借金があることを突然知った
- 故人宛の借金の督促状が届いた
- 故人が他人の借金の連帯保証人になっていた
- 事業承継のため特定の相続人に相続財産を集中させたい
- 遺産が少ないので煩雑な手続きやトラブルを避けたい
- 故人の財産に、家があり、解体して敷地の土地を戻す必要があるとき
- 故人に田や管理不可能な家屋がある
- 故人の財産である不動産は,相続したくない、固定資産税も請求されたくない
- 故人が利用していた船舶があり、廃棄する費用がなく、相続したくない
ただし、相続放棄ではなく、相続財産の分け方(遺産分割といいます)を工夫することで、上記の問題を解決できる場合があります。
まずは弁護士に相談いただき、最適な対応方法を一緒に検討しましょう。