弁護士の早期介入により、兄弟間の遺産分割トラブルが円満解決した事例

事案概要
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依頼者
- 60代・男性
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被相続人
- 父親
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相手方
- 兄(70代前半)
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遺産総額
- 約1,600万円(不動産、預貯金を含む)
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争点
- 兄による財産の大半の取得主張に対する遺産分割割合の交渉。
相談に至った経緯
依頼者は、父親の相続が発生したことを受け、遺産分割について兄と話し合いを進めようとしていた。兄弟間の関係は、元々は特段悪くなかった。しかし、兄は父親と同居していたこともあり、「自分が財産の大半を取得すべきだ」と主張し、同居していた不動産を含め、今後の修理費もかかるので遺産の大半の取得を要求してきた。この主張は法定相続分とは大きくかけ離れており、依頼者は兄の強硬な態度に納得がいかず、このままでは感情的な対立が深まることを懸念し、円満な解決を図るため当事務所に相談した。
弁護士の対応
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状況の聴き取りと法的アドバイス
- 依頼者から詳細な状況を聴き取り、遺産の全体像と、兄の主張内容を把握した。
- 法定相続分の原則を説明し、依頼者の正当な権利を明確に伝えた。
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弁護士からの介入通知と交渉開始
- 依頼者の代理人として、弁護士が兄に対し、遺産分割協議の申し入れと、法定相続分に基づく公平な分割を求める通知を行った。
- 弁護士が間に立つことで、兄弟間での感情的な対立を避け、冷静な話し合いの場を設けた。
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迅速な合意形成
- 弁護士が介入すると、兄は自身の主張が法的に通りにくいことを理解したのか、驚くほど迅速に法定相続分での分割に応じる姿勢を見せた。
- その後は、法定相続分に基づき、具体的な遺産分割案を作成し、円満な遺産分割協議が成立した。
事件のポイント
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弁護士の早期介入による紛争の沈静化
兄弟間の対立が深刻化する前に弁護士が介入したことで、感情的なもつれに発展することなく、早期に冷静な話し合いの場を設けることができた。弁護士からの法的根拠に基づいた説明が、相手方である兄の強硬な主張を軟化させる大きな要因となった。
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法定相続分に基づく公平な解決
遺産分割においては、法定相続分という明確な基準があるため、弁護士がそれを提示することで、不公平な要求を排除し、双方にとって納得のいく公平な解決へと導くことが可能となる。
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円満な家族関係の維持
依頼者と兄の関係が悪化する前に法的な解決を図れたことで、相続後も兄弟関係を大きく損なうことなく、円満な解決を実現することができたのである。
この記事の執筆者

オーシャンズ若松法律事務所
代表弁護士
若松 敏幸
保有資格弁護士
専門分野生前対策、相続トラブル解決
経歴
■ 昭和44年 山口県立大嶺高等学校卒業
■ 昭和48年 神奈川大学法学部卒業
■ 昭和50年 株式会社判例時報社入社
■ 昭和53年 司法試験合格
■ 昭和54年 株式会社判例時報社退職
■ 昭和54年 司法研修所入所
■ 昭和56年 司法研修所卒業
■ 昭和56年 弁護士登録(埼玉弁護士会)
■ 昭和58年 山口県弁護士会に登録変更
■ 昭和58年 下関市に「若松敏幸法律事務所」開設
■ 平成17年 山口県弁護士会会長
■ 平成4年~現在日本弁護士連合会 弁護士業務改革委員会 委員