「不要な土地」だけを放棄!98歳の遺言作成を粘り強くサポートし、「不要な土地」だけを相続放棄できるようにした事例

事案概要
依頼者
98歳・女性(被相続人の姪にあたる)
被相続人
依頼者の伯父(父の兄)
遺産
被相続人名義の土地(共有名義)および、依頼者自身の固有資産
争点
- 数代にわたり未登記だった不動産の相続放棄と、依頼者自身の資産承継の両立
相談に至った経緯
依頼者のもとに、市役所から「共有名義の土地があるため、納税代表者になってほしい」という通知が届いた。調査の結果、50年前に亡くなった伯父の土地が遺産分割されないまま放置されており、数代を経て姪である依頼者に相続権が回ってきたことが判明した。
依頼者の娘(次世代の相続人)はこの土地を引き継ぎたくなかったが、依頼者自身には相応の資産があり、全てを相続放棄すると自身の財産まで手放すことになってしまう。そのため、依頼者の死後、子供たちが「不要な土地」だけを放棄しつつ「お母さんの本来の財産」は受け取れるようにするため、特定のプラスの財産のみを娘に引き継がせる「遺贈」の遺言書を作成することとなった。
弁護士の対応
体調と判断能力の慎重な見極め
- 相談時、依頼者は入院しており、インフルエンザのため一時は会話が噛み合わないほど命の危険がある状態であった。しかし、遺言作成のために退院し、自宅で娘やケアマネジャーによる手厚い介護を受けたことで、体調が回復しました。
- 弁護士は複数回自宅を訪問し、依頼者が「誰に、何を、どのように遺したいか」を明確に答えられるか、意思能力を慎重に確認。
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徹底したリハーサルと公正証書遺言の作成
- 当日は、公証人が到着する1時間前に弁護士が訪問。名前、生年月日、遺言内容を繰り返し答えてもらうリハーサルを3回行い、万全の準備を整えました。
- 公証人同席のもと、依頼者は完璧に内容を回答。98歳という高齢ながら、法的に有効な公正証書遺言を完成させることできました。
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将来の相続放棄を見据えたスキーム構築
- 依頼者が亡くなった際、子供たちが「不要な土地の相続」を放棄できるよう、遺言によって大切な財産だけを「遺贈」する形をとった。これにより、次世代に負担を残さない体制を整えた。
事件のポイント
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高齢者の意思能力への配慮と執念:
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98歳というかなりご高齢な状況でも、適切なケアと準備があれば遺言作成は可能である。本件は、弁護士が粘り強くリハーサルを重ね、公証人と連携したことで実現した事例である。
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負の遺産を断ち切る法的スキーム:
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放置された不動産は、代を経るごとに解決が困難になる。遺言によって「引き継ぐべき財産」を特定することで、次世代が「不要な財産」を選択的に放棄できる道を作った点は、戦略的な解決といえる。

■ 昭和44年 山口県立大嶺高等学校卒業
■ 昭和48年 神奈川大学法学部卒業
■ 昭和50年 株式会社判例時報社入社
■ 昭和53年 司法試験合格
■ 昭和54年 株式会社判例時報社退職
■ 昭和54年 司法研修所入所
■ 昭和56年 司法研修所卒業
■ 昭和56年 弁護士登録(埼玉弁護士会)
■ 昭和58年 山口県弁護士会に登録変更
■ 昭和58年 下関市に「若松敏幸法律事務所」開設
■ 平成17年 山口県弁護士会会長
■ 平成4年~現在日本弁護士連合会 弁護士業務改革委員会 委員



