誰に何を相談したらいい?

目的に応じた専門家にご相談を

相続手続については、弁護士や司法書士・税理士・行政書士など様々な専門家がホームページなどで宣伝しています。
一見、いずれも同じことをしているように見え、その違いが解りにくいかと思います。しかし、 それぞれできる業務が法律で明確に定められています
 
まずはご依頼者さまの目的に応じた専門家に相談することが大事です。
 
最初に相談した専門家が、ご依頼者さまの目的に合った相談先でない場合、時間と費用が余計にかかり、思わぬ不利益を被る可能性があります。 

問題をよく見極めることが大切です

相談とは、病院でいうところの診察と同じことです。
最初の相談をしっかり聞くことでご依頼者さまの問題点・今後の対応・スケジュール・解決策などが分かります。
 
最初のご相談こそが最も大切で最大の注意を払って行う仕事なのです。
 
たとえば「相続」「成年後見」などを業務に掲げていても、「相続とはどこまでできるのか?名義変更までできるのか?」「後見は法定後見なのか任意後見なのか?」を確認したうえで相談する必要があります。法律で定められていない範囲の業務の相談をすることは、相談者にとって危険なことです。
 
正しい専門家を選ばなかったばかりに、依頼者にとって適切な対応ができずに、取り返しのつかない不利益がでないように注意が必要です。
 
ご依頼者さまは、各専門家に対して「法律上どこまでの手続きができるのか?」を、まず最初に確認することが必要です。

業務範囲は専門士ごとに決められています

「司法書士と行政書士は何が違うのですか?」とよく質問されます。
「司法書士の安光です。」と名乗ったのに「行政書士さんですか?」と言われることもあります。

確かに紛らわしいです。しかし業務の範囲は資格者ごとに法律で厳格に定められていますので、相談を受けられる範囲が異なります。
 
司法書士は法務局や裁判所を管轄する法務省の国家資格。行政書士は県庁や市役所などを管轄する総務省の国家資格です。

このため、司法書士は法務局や裁判所関係の手続き。行政書士は役所関係の手続きが主な業務となります。
 
一般の相談者にとって、各専門家の業務範囲は分かりにくいものです。
まずは、どこに相談したら良いのかを明確にし、ご依頼者さまの相談内容とそれぞれの業務範囲をしっかり確認した上で、相談先を決めることをお勧めします。

相続問題において

一言で「相続」といっても様々な手続きがあります。相続手続きは、まず 「戸籍を集める」「遺産分割協議を作成する」ことから始まりますが、このことに関しては、司法書士と行政書士ともに依頼を受けることはできます。

しかし、その後の、 不動産の名義変更や預貯金解約などの遺産整理業務を行えるのは司法書士だけです。このため、亡くなった人の不動産の名義変更を行政書士に頼んだ場合、戸籍を集めたり遺産分割協議書を作成することまでは行政書士が行いますが、不動産の名義変更は司法書士の業務となるので、追加費用を払って司法書士にお願いすることになります。
 
遺産分割協議書作成までを行政書士が行い、その後の登記手続きを司法書士が行った場合、その都度、本人確認をしたり引継ぎに時間がかかったりしますし、専門家が2人関わるために費用が割高になる可能性があります。
 
一方で、 司法書士は戸籍を取得して遺産分割協議書を作成から登記手続きまですべてできるため、 最初から司法書士に頼めばワンストップで安心です
また、全体の手続きを見通した費用とスケジュールもご提案できます。
 
また、税理士も遺産分割協議書を作成しますが、それは税務申告のためのものです。税務署と不動産の名義変更で使用する法務局では、求められる記載の内容が異なります。相続税の申告と不動産の名義変更がある時は、両方の専門家に相談する必要があります。
 
相続手続には、依頼者が気付かない様々な問題が潜んでいることがあります。
依頼者のお話をよく聞いて、その都度必要な専門的なアドバイスをしたり、期限内に行わなければならない手続きもあります。
 
私たち司法書士は、最初のご相談で、「遺言はありませんか?」「相続人に認知症の方はいらっしゃいませんか?」場合によっては「亡くなった人に借金があったり保証人になっているという話を聞いたことがありませんか?」など、多方面からお話をお聞きし、それぞれの場合に応じた対応を検討することができます。
 
この結果、関係者の中に相続放棄を行いたい。認知症で成年後見の申立をしたい。相続人の一人が行方不明で不在者の財産管理人の申立をしないといけない。遺言があり検認の申立をする必要がある。など必要なアドバイスをすることが可能です。
 
例えば、相続放棄は3か月以内に行わなければなりませんが、この期限を過ぎてしまうと、借金を放棄できなくなります。また、3か月以内でも安易に遺産分割協議をしてしまうと放棄できなくなることもあります。
 
さらに、この3か月という期間も、場合によっては期間を過ぎていても放棄できることもあります。 このように、いただいたご相談の中から複数の問題点を拾い上げて、実務に応じた適切な対応をしていく必要があります。
 
司法書士はこれらの手続きの専門家です。必要な手続きを行うことができますが、行政書士は裁判所に関する業務を行えないので、このような手続きを行うことも相談を受けることもできません。
 
 

最初の相談で問題点を見落としてしまうと、誤った判断がされたり、正しい解決策を提案できないまま依頼者が不利益を被ったり、業務が中断する危険性もあります。

成年後見において

「成年後見」には、「法定後見」「任意後見」の2種類があります。

「父が認知症で不動産を売却したり、預金を下ろしたりしないといけない」というような病気や障害で現時点で判断能力が低下している人に代わって後見人を選任する手続きを行うといったことに対応するのは「法定後見」です。

これとは別の制度で、「任意後見」というものがあります。これは、今の時点で判断能力に問題は無い人が、自分が将来に判断能力が低下した時に備えて今の時点で契約書を残しておくものです。今、身近に認知症などの人がいることでお困りの方には関係ない制度です。
この相談や手続きを行えるのは司法書士です。
行政書士が行えるのは「任意後見」に関する「任意後見契約書の作成」です。
 
安光事務所では、司法書士・行政書士の資格者が在籍しています。
「法定後見」「任意後見」両方の制度の説明を丁寧にくわしく行い、ご相談を受けることができます。
 
「法定後見」の申立はそれほど難しい手続きではありません。しかし、選任された後に様々な問題が生じる可能性があります。これらも、実際に手続きを行い、裁判所と協議をした経験をふまえて、メリット・デメリットをきちんとお話しした上で、ご依頼者さまに判断していただくこととが大切です。
 
安易に法定後見の申立をすると取下げはできません。
選任後は財産管理に厳格な対応が求められますので慎重に判断する必要があります。
 
当事務所ではこういった説明を丁寧に行いますので、成年後見の相談に来られた人のうち、選任後のデメリットの説明を聞かれて申立をしないという判断をされる方もいらっしゃいます。
 
 
成年後見についてくわしく

遺言において

公正証書遺言は「公証役場」の「公証人」が作成します。
公証人以外の専門家が公正証書遺言を作ることはありません。各専門家は、遺言の「文案」についてのアドバイス・公証人との調整・証人になる。ということが業務になります。
 
例えば、相続税が多額にかかりそうな人は税理士と相談しながら文案を作成すれば良いですし、不動産の名義変更などが関わってくる場合は司法書士へ。紛争性が高い場合は弁護士へ。というように遺言者が亡くなった後の問題に応じて専門家に相談するのが良いと思います。
 
そういった意味から、死後の財産の名義変更や移転手続き、税金などに関与することができる業務の範囲が狭い行政書士に遺言案作成の相談をするメリットは少ないと思います。
 
 
遺言についてくわしく

業務範囲について

 
 

安光事務所では、司法書士・行政書士の資格取得者が在籍しており、遺言書の作成・不動産の名義変更・預貯金、株の名義変更・相続の放棄などの各種問題についてご相談をお受けできます。

司法書士が行える相続業務

当事務所にご依頼いただけます

(1)登記に関する業務

戸籍の収集
遺産分割協議書の作成
不動産の名義変更(相続、生前贈与)
抵当権の抹消(ローンが完済した場合)
 

(2)預貯金・証券などの解約、承継手続

預貯金、証券など、各種財産の解約、承継手続
遺言者死亡後の遺言の執行
 

(3)相続放棄・遺言書の検認・特別代理人選任など裁判所への申立手続き

  • 自筆証書遺言の検認

自筆証書遺言があった時は、遺言者が亡くなった後すみやかに裁判所に「検認」という手続きを行わなければなりません。
 

  • 相続放棄手続き

亡くなった方に多額の借金があったり、保証人になっている場合は亡くなったことを知った時から3か月以内に裁判所に相続放棄申述という手続きを行えば、それらを放棄することができます。
 

  • 成年後見申立

認知症や病気で判断能力が著しく低下して預貯金を下ろしたり、不動産を売却したりできない場合は「法定後見」の申立を裁判所に行います。
また、相続人の一人が判断能力が低下している場合に遺産分割協議を行う際にも法定後見の申立が必要になることがあります。(最近、多いので注意が必要です)
 

  • 不在者財産管理人申立

相続人のうちの一人が行方不明で遺産分割協議ができないような場合は、不在者の代理人を選任する申立を裁判所に行います。不在期間が長期間であるとか、その時々の事情に応じて失踪宣告の申立も行うことがあります。
 

  • 特別代理人選任申立

たとえば、夫が亡くなり、妻と未成年の子供が残された場合に、住宅ローンが保険で返済となって担保の抹消をするときは、まず最初に不動産の名義を亡くなった夫から相続人に変更しなければなりません。その際、妻の名義にしようとしたら子供が未成年であるため裁判所に特別代理人選任の申立を行わなければなりません。
未成年者である子供にも2分の1の権利があるので親がそれを勝手に奪わないため、安易には認められません。また、相続手続きを行うには、これらのこと全てを理解したうえで、依頼者の相談を受けなければなりません。

行政書士が行える相続業務

当事務所にご依頼いただけます

  • 戸籍の収集
  • 遺産分割協議書の作成
  • 遺言書原案作成
  • 車の名義変更
  • 市役所への農地、山林の届出

 
司法書士も行政書士も、業務として遺産分割協議を作成することができますが、その遺産分割協議書を使用して、不動産の名義変更や預金解約などの遺産整理業務を依頼する時は最初から司法書士に依頼した方がよろしいかと思います。

弁護士と税理士の相続業務

弁護士に相談した方がいい場合

弁護士は法律事務全てを行うことができます
特に、相続人同士でトラブルになっている。または、争いになりそうな場合は弁護士しか対応できません。
自分たちで話が出来そうにない時は最初から弁護士に相談すべきです。
敷居が高そうだからといって他に相談しても決して問題は解決しません。

税理士の業務

相続税の相談・申告は税理士のみが行える業務です
相続税の申告には期限がありますので、なるべく早めにとりかからないといけません。
その際、不動産があれば最終的には名義変更が必要となりますし、相続関係が複雑であったり裁判所の手続きが必要と思われる場合は、まずは司法書士に相談していただければ、戸籍の取得や遺産分割協議書の作成、預貯金の解約手続きなどを司法書士が行い、税理士と連絡を取り合いながら進めることもできます。

終わりに

ホームページなどを見ると「一般社団法人 相続○○センター」などというものが多く見受けられます。
 
運営主体が上記の専門家であればその専門家の業務の範囲内で依頼や相談を受けることができますが、そうでない場合は、その団体自体は何の権限もありませんので、結局業務は各専門家へ委託されます。
 
そのため時間と費用がかかり依頼者にとって不利になる可能性があります。
このような団体を利用する際は、まず運営主体をしっかりと見極めなければなりません。
 
 

様々な専門家がいますが相続手続きは、【まず実績のある司法書士に相談し、状況に応じて弁護士や税理士などの専門家を紹介してもらう。】という方法が、ご依頼者様にとって賢明だと思います。